トロワ (ii)
梶谷あや子
お休み、白い夢
あまい音楽のなかで
呼び出しのベルがどこまでも続いている
ぼくは、ねざめの黒い籠に
人びとが起きていくのを聴く
沈み込む星の胎と
平衡にあなたがほほえんでくれる
光の進む方向へ
太陽がひとつ、ひとつ、また
かごめを引き裂きながら
またひとつに
つぶさな国と国とが
どこまでもふれ合っていて
それがこんなにもこんなにも優しかった
車は出てゆき
何ひとつ記録することも
手を、降ることさえないから
あらゆる悩みを旅しよう
だってあなたの瞳が
わたしを見ている、
呼び出しのベルは
どこまでも続いている