貝殻のおんな
吉岡ペペロ

朝の公園でおんなは貝殻のようだった

見つけたことを喜ぶみたいな

ぼくはひとりのガキンチョになっていた

おんなから二度キスをされた

髪の毛にしてくれたあと

ぼくから唇にした

うわ唇のほくろを

一瞬いやらしい目で探した

貝殻は抱きしめると

やっぱり海のなかの音がした

おんなは横断歩道を渡って

歩道を電動自転車のスピードで

ときおり手を振りながら消えていった

その夜の留守電に

おやすみ・・・おやすみ・・・・・・・・

とはいっていた

ぼくのことが大好きだと言って

泣いたりするおんなだった

おんなとは会うと楽しかったが

離れると沈黙が答えになってしまうようだった







自由詩 貝殻のおんな Copyright 吉岡ペペロ 2010-09-06 00:04:13
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