貝殻のおんな
吉岡ペペロ
朝の公園でおんなは貝殻のようだった
見つけたことを喜ぶみたいな
ぼくはひとりのガキンチョになっていた
おんなから二度キスをされた
髪の毛にしてくれたあと
ぼくから唇にした
うわ唇のほくろを
一瞬いやらしい目で探した
貝殻は抱きしめると
やっぱり海のなかの音がした
おんなは横断歩道を渡って
歩道を電動自転車のスピードで
ときおり手を振りながら消えていった
その夜の留守電に
おやすみ・・・おやすみ・・・・・・・・
とはいっていた
ぼくのことが大好きだと言って
泣いたりするおんなだった
おんなとは会うと楽しかったが
離れると沈黙が答えになってしまうようだった