幽霊
たもつ

 
 
枕元のバス停に
バスがとまる
幽霊たちが降車してくる
薄目で見ると
いつもと同じ顔ぶれ
時々人数が違うのは
シフトなどの関係だろうか
幽霊たちは寝ているわたしに気を遣って
そっと歩いているようだけれど
衣擦れや鼓動まではどうしようもならない
死んでまでも気を遣わなければならない
そう考えるとヒトは哀れで美しい
すり抜ければ良いのに
幽霊たちは律儀に玄関を開けて出て行く
いつの間に作ったのか
合鍵で鍵をしめる音が
どこか遠くから
しんみりと聞こえる
 
 


自由詩 幽霊 Copyright たもつ 2010-09-05 10:24:30
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