月夜も欠けぬ時を見つめ
北星三天

ミルクに近い月の光り
アイス珈琲に混ぜた夜

深夜放送に明け暮れた
忘れたはずの夜の落し物

風からまる腕で抱きしめていた


倒した知恵の杖
指す道を倒れながら倒れながら

あの時君に話したはずの御伽噺

あの時君に渡したはずの夢物語

今も風からまる腕で抱きしめている


たまに無性に泣いているのは

悲しいからではないからで

見世物でないやさしさに刺されただけの夢物語

先生が話す人生の御伽噺
笑うことでしか解ることもことも無く
君と手を繋ぐだけで虚空を見つめた

今宵も朝に近く
今宵も夜に近く

誰に話すことも無いミルクに近い月の灯り

飲み干せば眠るように夢を拾い
拾えば眠るように奏で飲み干している

おるごおるは蓋の開いたまま
今宵もあの頃と変らないまま



月夜も欠けぬ音色を



織り続けているんだよ


自由詩 月夜も欠けぬ時を見つめ Copyright 北星三天 2010-09-05 05:56:58
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