継承の果実
朧月
両手にゆさゆさ
梨の重みかかえて
丸でもない 尖ってもない
梨はごろごろ ごろごろ重い
くるくるむいて
白い実があらわれて
私の内側までむかれていった
梨はみずみずしい私の
血液まで到達しているよ
くるり白い実だよ
炎天下のあの日
罵声をかけながら
継がない息子に呆れながら
遊びつくす孫を恨みながら
おじいさんに愛された梨は
白の実に結ばれた
私に告げている
命の美しさ
太陽は
残酷に光ってる
永遠とよべない命を
あざわらって
重い重い梨
両の手にゆさゆさ
運ぶとき確かに命を想う