氷のように冷たいもの
ベンジャミン
やさしさを込めたはずの言葉の前に
氷のように冷たい壁を感じるのは
わたしの中の本当だからです
どうしても感じずにはいられない
わたしの中の冷えきったもの
それが目の前に在るのです
こんなに暑い日が何日も続いても
ずっと融けることのない記憶が
わたし自身を氷のようにして
ほんのわずかな空白の時間をつくる
わたしを思わず黙らせるほどの
わたしの真実が在るのです
慰めや励ましや
もろもろ前向きな言葉が浮かんでは消え
けれどもわたしは
結局そんな言葉を放つのです
それもまた
わたしの中の真実であることを信じたい
氷のように冷たいものを前にして
まるで自分に向かって語りかけているのです