氷のように冷たいもの
ベンジャミン

やさしさを込めたはずの言葉の前に
氷のように冷たい壁を感じるのは
わたしの中の本当だからです

どうしても感じずにはいられない
わたしの中の冷えきったもの
それが目の前に在るのです

こんなに暑い日が何日も続いても
ずっと融けることのない記憶が
わたし自身を氷のようにして

ほんのわずかな空白の時間をつくる
わたしを思わず黙らせるほどの
わたしの真実が在るのです

慰めや励ましや
もろもろ前向きな言葉が浮かんでは消え
けれどもわたしは
結局そんな言葉を放つのです

それもまた
わたしの中の真実であることを信じたい

氷のように冷たいものを前にして
まるで自分に向かって語りかけているのです


自由詩 氷のように冷たいもの Copyright ベンジャミン 2010-09-03 04:37:12
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