真夜中の体育館
tomtom_poem
だだッ広く真夜中
合宿中の体育館
暑ッ苦しく白昼
高校生たちの汗
熱く寝苦しい
名前だけの顧問である私はその夜だけ代役で泊まることになった私が昼間健康的な熱気あふれた誰もいない体育館の板張りのど真ん中に布団と毛布と枕をもちこみたった一人で寝ることを知らされることを知らなかったわけだし体育館の二階の卓球場では女子部員たちが寝ていることにもまったく気づいていなかったし主顧問がせつない避暑のためご自分の白い軽自動車に寝袋もちこみ寝ることを予想だにしていなかった湿気と暑気に対してなんの不安も感じていなかったこともないではなかったその深更少しの広大と極小にともなう果てなき孤独への期待をいだかせてもいた脳髄――
もう午前零時をまわったろう
時計のきざむ音すらきこえない
めは閉じ暗闇をさまよっているが
触る気配は直接で
迷走する暖気のように
重くべっとり
いやらしい
夜の選挙戦も内と外が勝ったり負けたり
少数派は埋没するばかり
もう午前二時をまわったろう
ねこのぽんずくんが高い天井を飛んでいく
きじとらもようをひきのばし
安心できぬ金色のめ光らせ
卓球場から壁つきやぶり自動車の寝袋へ
ほたるの点滅ように
脳みそをそそりたたせる
午前五時?
またなにか
べちゃっとしたものを
つるつる引っぱってくれるそれ
また昇る