ハダカヌードル
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小田急線で育ったボクは

蕎麦と言えば箱根そばで

小学校も高学年になると

駄菓子屋で50円のカップラーメンくらいじゃ

我慢出来なくなってさ、

そんで行き着いた立ち食いそばってのはさ、

そりゃあもうオレたちの格好の体験スポットでさ

少年野球の練習の帰りなんかに

仲間たちと駆け込んだワケです。

当時はかけが160円だっけな?

一番高い肉そばが300円くらいだった気がする。

まあ今でもたまあに食うんだけどさ、

大人になったからなのか、時代が変わったからなのか、

なあんか前ほど美味しく感じなくなっててさ。

子供の時に親に言われた、

“アンナもん美味しそうに見えるけど、実際食べたら大したことないんだから”
のセリフの意味も分かる気もするなあ…

なんて思ったりして。

そんで今は値段も上がってるでしょ?

まあ時代だからしょーがないにしてもさ。

しかも新宿の本店だか本陣だかはさらに割高でさ、

立ち食い会の風上にも置けねえぜって思ってたんだけどさ、

行ったの。さっき。

400円のたぬきうどん食ったの。

旨かった。

旨かったからどーでもよくなっちゃった。

確かに具材が違ってたりしたけれど、ハラが減ってる時にウマイと思えるモン食って満足って。

幸せなんだろうなって。
アチイけど。

恵まれてんだろうなって。
アチイけど。

明日も上手にやりすごせるよなって。
アチイけど。

冷やしにすりゃよかったかな。
アチイから。

やっすいワイン買って帰ろ。

アッチイな。



散文(批評随筆小説等) ハダカヌードル Copyright BOOKEND 2010-09-01 22:58:41
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