ホール
たもつ

 
 
壊れたメトロノームの
壊れたリズムで
第一楽章は始まる
歪んだ旋律が
琥珀色のホールを満たし
それでもヒトたちは
祈るように席に座り続けた
やがて楽団員が一人また一人と
舞台から姿を消していく、そして
沈黙
の中に壊れたメトロノームの
壊れたリズムと
ヒトの皮膚感覚だけが残される
最後に指揮者が登壇し
一礼をすると
何もない海へと飛び込んだ
 
 


自由詩 ホール Copyright たもつ 2010-09-01 21:03:20
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