きょう一日が記憶にない
吉岡ペペロ
妻ともおまえとも別れられないオレだった
寝てないから仕事はキレを増した
足首からしただけがふわふわしていた
おまえのことばかり考えていた
女は幸せとは好きなひとといっしょになることだと言った
男は幸せになりたいとは思わないと言った
男にとって幸せになりたいというのは
パイロットになりたいとかプロ野球選手になりたいとか
そんなものといっしょだったのだ
ただたいせつだった
たのしい気持ちでいてほしかった
活力あるあしたを信じれるふたりでいたかった
おまえのことをずっと考えていた
音のない洞窟でおまえのことをずっと考えていた
声をなくした女に電話で話しかけていた
ひとりごとのようだった
それはこの五六年男がやって来たことだった
女という存在だけが男の精神を育んでいたのだ
妻ともおまえとも別れられないオレだった
寝てないから仕事はキレを増した
足首からしただけがふわふわしていた
おまえのことばかり考えていた
女は幸せとは好きなひとといっしょになることだと言った