丸の内にて
森の猫
ここ丸の内
日本の中枢企業のある街
久しぶりに訪れた
皇居の緑は深く
街は整備され
喧騒渦巻く 企業街とは
思えないたたずまい
かつて あたしも
OLとして営業マンの補佐をしていた
タイプを打ち ビルを作り
それを 中間業者に届ける
2部上場であったその社は
現在 優良企業に昇格したと
聞いた
なつかしい
けれど 楽しくも過酷な日々であった
終電で帰ることも珍しくなかった
使う者
使われる者
皆 真剣に仕事にあたった
中堅どころの社風は嫌いではない
声をかけることもままならない
社長やその親族の役員たち
一見優雅だが
水面に浮かぶ水鳥は
その下で激しい
水かきを繰り返している
二八
二月と八月は
企業にとって締め時だ
9月
年の後半に向けて
戦略が練られているのだろう
いちサラリーマン家族の
あたしには
はかりしれない 苦悩の連が続く
会社が存続していく限り・・・
丸の内のビルの谷間で
そんなことを思った
夕暮れであった