Lavo
Akari Chika

安らぎの意味も忘れるほど
孤独を噛み締める夜

走り去っていく
あなたの夢が
繰り返し浮かんでは
消えていく

幸せな夢を見られないなら
眠る意味って
ないのかな

朝日が街の
輪郭を縁取る頃
緑の風が
吹き抜ける

光の泡が降りてきて
この痛みゆっくりと
洗い流してくれた

目を開き
背を伸ばす

腫れたまぶたに
冷えた空気が
心地良い

道路の隙間から芽を出す雑草
その  緑の美しいことや
佇まいに  救われる

一人の人間に配られる
幸福の量が決まっているのなら
願う意味って
あるのかな

箱庭のような世界の中で
生きて  動いて
誰かを想うことの
不思議

心を巡る蜂蜜は溶けて
花開く蓮へ
身を落とす

夜が震えて  朝になり
網膜に映るは
懐かしき色

潤沢な愛に甘えて
ここまで来れたこと
今更のように
思い出す

未来の人よ
こんなに傷ついた日々を
どうか笑わないでほしい

光の泡よ
どうかもう少しだけ
この痛み洗い流して

虚しくて潰れそうだった

雫の裏側に映る
私の泣き顔を
ちっぽけな緑が
受け止めてくれた

その  ささやかな命を守るため
この世界は
在るのかもしれない


自由詩 Lavo Copyright Akari Chika 2010-08-30 19:35:20
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