歌声
……とある蛙
1
その大いなる人々は
歌声と一緒にやってくる。
峰峰に雪を戴いた白い山並を越え
覆い隠すような人数で
その歌声と一緒にやってくる。
誰かのために歌う訳でも無く
止むことのないその韻律は
傷ついた多くの人達の
太古から続く苦しみを癒すために
歌の溢れた空間に横たわる 数多の人々
希望の失われていない その人達とともに
歌とともに膨れ上がった信頼を頭上に掲げたまま
笑顔で歌い続け
それから希望の一歩を踏み出す。
2
その大いなる人々は
歌声と一緒にやってくる。
青い海原の彼方から白い波頭に乗って
海面を覆い隠すような人数で
その歌声と一緒にやってくる。
誰かのために歌う訳でも無く
止むことなくその韻律は
浜辺に横たわる多くの遺体の魂の
太古から続く苦しみを癒すために
歌の溢れた空間に漂う 数多の魂
地上に漂う魂を昇天させるための癒しの韻律を
歌とともに膨れ上がった救済を頭上に掲げたまま
笑顔で受け入れて歌い続け
それから天に向かって上って行く
希望の一歩を踏み出す。
3
その大いなる人々は
歌声と一緒にやってくる。
遙か向こうの地平線の彼方から
地上を覆い隠すような人数で
その歌声と一緒にやってくる。
誰かのために歌う訳でも無く
止むことなくその韻律は
諦め掛けた多くの人たちに
待ち望んでいた勇気を与える。
歌の溢れた空間にふさぎ込み膝を抱えて座っている数多の人たち
太古の昔に失われた勇気を取り戻すため、
歌とともに膨れ上がった希望を頭上に掲げたまま
笑顔でそれを受け入れて歌い続け
それから明るい一歩を踏み出す。
この文書は以下の文書グループに登録されています。
唄