天使ちゃん1回100円
真島正人

コンクリートが濡れていた
僕は朝からの買い物でせわしなく移動していた
掌で抱えた袋には
甘い匂いのストロベリーがたくさん入っていた
老婆が向こうの道路で
子供の手を引いていた
子供は小さすぎて女の子なのか男の子なのかわからない
空は晴れていた
雨上がりだから
そんな時急にアスファルトから
手が伸びてきて消えた

天使ちゃん
1回100円
許してくれよ

どこかから声が聞こえてきた
望みは
かなえられるためにあるのではないので
いつもそれは浮遊している
口や目から
体の中に入り
しばらく光って
黙って出て行く

一度光った人の
残りかすが天使なら
よかったのにな



自由詩 天使ちゃん1回100円 Copyright 真島正人 2010-08-29 23:47:41
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