晴れやかに
Akari Chika
小さな弓矢に込められた
小さな想い
幾たびもひるがえる
風の子たちのはしゃぐ声が響いて
始まったばかりの午後は回り出す
カーテンとカーテンの間から覗く
優しさと期待に満ちたまなざし
見守るひとは
春の女神
窓枠に手を置いて
コンクリートの壁を見つめて
そこから反射してくるものを
読み取ろうとした
どうしてだろう
どうしてだろう
ひどく嬉しい
ひどく悲しい
変わるの?
変わらないの?
バランスのひしゃげた空間に腰掛けて
透き通っていくからだを愛でた
慈しむのならば
純粋なものではなく
混在したものを
慈しみたい
人と人との
複雑な感情の 交わりのような
簡単に結べず
簡単にはほどけない
そういうものを
トゥルル トゥルル
遠くの部屋から
鳴り響く電話の呼び出し音
双子の歯車が
カチリとぶつかり合う音で目が覚める
もう行かなくちゃ
ひどく寂しい
でも
ひどく晴れやかな気持ちだった