晴れやかに
Akari Chika

小さな弓矢に込められた

小さな想い



幾たびもひるがえる

風の子たちのはしゃぐ声が響いて



始まったばかりの午後は回り出す



カーテンとカーテンの間から覗く

優しさと期待に満ちたまなざし



見守るひとは

春の女神



窓枠に手を置いて

コンクリートの壁を見つめて

そこから反射してくるものを

読み取ろうとした



どうしてだろう

どうしてだろう



ひどく嬉しい

ひどく悲しい



変わるの?

変わらないの?



バランスのひしゃげた空間に腰掛けて

透き通っていくからだを愛でた



慈しむのならば

純粋なものではなく

混在したものを

慈しみたい



人と人との

複雑な感情の 交わりのような

簡単に結べず

簡単にはほどけない

そういうものを 



トゥルル トゥルル

遠くの部屋から

鳴り響く電話の呼び出し音



双子の歯車が

カチリとぶつかり合う音で目が覚める



もう行かなくちゃ



ひどく寂しい

でも



ひどく晴れやかな気持ちだった


自由詩 晴れやかに Copyright Akari Chika 2010-08-29 14:56:30
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