たのしみいろのうみ
りこ

砂浜から間抜けた様子で眺めていました

流されないように飲まれれば良いよ
と貴方は仰いましたね

空の上から耳を打たれた人人は
履歴書を埋める作業が大好物で
細細と癖のある字で書き込みます
何時だって
はじめもおわりもありやしない
履歴書は真白いのに
他の、
しみいろは薄らいで薄らいで流されている
忘れてしまった人には通じない
言葉で
囁き合う
人人の無色言葉が聞こえない
聞きたくも無い、
海の中で和らいでいる周りの、
声しか波紋を見せず
味の濃い塩を分け合って笑い合って和らいで
ずっと、海の中
履歴書が滲んでまた書き直している

皆仲良く


間抜けな私は
砂浜で拾い集めている
薄いものを引き伸ばして丸めて飲み込んで
もう既に
苦では無い筈なのに時々
空から海に潜る人を眺めては傘を買おうとする

しんざんしゃは拒む
海には潜れないから、空へも行けない
真剣ならば傘くらい買えば良いのに

目を出せ
その、
濃い塩しか受け入れない喉を出せ

生臭いのは厭だと思った
生年月日で理解されてとある状態でくくりつけられて厭だと思った
けれども間抜けな間間でしかいられない

目を出せ
その、
濃い塩しか受け入れない喉を出せ

私は砂浜に居る
海の中に居るのは
非現実上の
手前ども


自由詩 たのしみいろのうみ Copyright りこ 2010-08-28 22:22:04
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