缶コーヒー
アマメ庵

自動販売機の 無骨な音は変わらないのに
近頃の 缶コーヒーは旨い
低気圧が近づいて 波が高い
海水混じりの風が 鼓膜を揺らし続ける

俺は 不味いコーヒーが飲みたかった
歯が溶ける甘味
タバコの灰を吸った後味の悪さ
行き場を失った苦渋
飲み干したかった

スっと染むコーヒー
「うまい」
上辺ばかりで そっけない
大人になるってことは そう云うことなのか

プルタブを中に落とす
まだ曲げられないと独り言つ
力を込め スチル缶を握った



自由詩 缶コーヒー Copyright アマメ庵 2010-08-27 21:54:04
notebook Home