憶えています
寒雪



目前には
静かに横たわる
あなたの骸
物言わぬあなたを前に
私はあなたの
か細くてたおやかな右手の
手首から一気に切り落とす
出来上がった肉塊を
躊躇わずに口に含む


異なる螺旋の連なりを
自らに同化させるため
私はあなたの右手を
私の内に取り込む
そうして
私とあなたは完全になる
昨日の月光が
明日の陽光に駆逐された時
私の中で
あなたは生き続ける
私の心臓が
あなたの代わりに鼓動を打つ
だから
なにも気にせず
次の世界へ進んでください
私は
あなたを憶えています


自由詩 憶えています Copyright 寒雪 2010-08-27 07:48:36
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