スリーパー
ホロウ・シカエルボク
生きている感触が廊下でひしゃげて転がっている
仕方がないから裸足の爪先でそこそこに蹴飛ばして
やたらとブラスがぶうぶう言う古いロックを聴いた
並べてみた言葉はどれもこれも不器量で早々に割り切って適当にケリを付けた、芸術に本当に必要なものは、開き直りとさじ加減、本当にただそれだけ
いつぞやの写真をまじまじと眺めて
本当に綺麗だって心から言おう
それは俺を本当に愚かしいところへ連れてってくれるから―わざわざ伝える感情のくだらなさ、あんたにだって覚えはあるだろ?
唾を吐いたらそれでお仕舞い、そんな自虐は
蒼い時代の残り香の間でやめにすることだ
俺たちは自虐をこねくり回して、花嫁衣装みたいに綺麗に飾り付け、素敵な音楽に乗せて人前に送り出す…どうせなら定番のマーチで頼むよ
寝床は今日も夏を吐き出しながら
現代建築の欠点を言外に語り続ける、だからってさあ
俺に出来ることがそんなにあるってわけじゃあないんだよね
判ってるから少し黙っててくれないか、そんなこと言われなくったって俺にはすべて判っているんだ
夏なんてだいたいそうとしたもんじゃないかね?
パソコンに取り込んでエンドレスで音楽を聴くことを覚えてから
時間の感覚を計ることが下手になってしまった、まあいいか
ディスプレイにはいつでも時計が表示されているんだしな?
今夜は早くに電気を消した、さていったい眠りの中になにを期待している?
そもそも上手く寝付けるかどうかも定かじゃないけれど
何事も試してみるに越したことはないさ、物事には幾通りもの解釈が存在している、一番大事なことは
自分主体でそいつを見つめないことだ…そういった愚かさ、あんたにだって覚えはあるだろう?俺はそういったことがどんなに恥ずかしいことか何度も見てきたんだ
お高くとまった野郎の鼻先なんかにさ
…どうかね、そろそろまぶたが落ちそうだ
書きかけで終わると絶対に二度と続きは書けはしないから
今日のこいつはこれで終わり
今日のこいつはこれで終わりさ
あとは
床で死んでしまった
生きている感触を回収して朝まで眠るだけだ