バタフライ・エフェクト
中原 那由多

夜の海へ飛び込んだように
目の前の景色が滲んでいる
零れ落ちてゆく星を見上げれば
私はこんなにも小さい

打ち上げられた空き缶と海藻
錆に絡まる濃い色合いが生々しくて

気づけば思いきり蹴り飛ばしていた


その赤い目は何を見つめているのかと
化学工場に問いただしたところで
返事はいつもと変わらず煙草の脂臭さ
手で振り払うのさえ億劫だから
街の方へと歩こうか
点在する自動販売機の明かりを
街灯に見立てながら


熱帯夜、耳を傾けることが増えていき
夏はついに終わってしまう
何気ないあくびの後に
明日こそ夕立が降ればいいのに、と
相変わらずの静かすぎるスケジュール
糸がプツン、と切れたように

帰り道を失くした


重低音が遠くで聞こえている
ニュースキャスターが淡々と読み上げている原稿には
きっと何も書いてありはしない
青白い光に照らされたコンセントは

サイケデリックへの入り口

耳から全身を伝う振動に揺さぶられて
今、懐かしいゲームを思い出している




自由詩 バタフライ・エフェクト Copyright 中原 那由多 2010-08-25 21:43:42
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