晩夏
ふるる

    引き潮に雨音が混ざる           
   夏の浜辺
  探せなくなったあの子の
   足跡が消える
    砂に残る蛇模様
   かすんでゆく水平線
  瞳の奥でざざんと縛って
   歩き出すしかない
    ハマナスが 小さく  微笑む
     蟹や小魚の墓地
      明日また
     また会えたらここで
    満ち潮に足音が混ざる
     夏のおわり
      約束を果たせなかったあの子と
     すれ違い
                       
         忘れられてゆく


自由詩 晩夏 Copyright ふるる 2010-08-24 23:00:17
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