目覚め
シホ.N
現実らしきものの断片が
観念的時間系列の中で
現れたり消えたりしている
僕はいつも目覚めたとき
もっと正確にいうなら
目覚めたと感じるとき
自分の呼吸器系統が
機能しているかどうか確認する
僕はようやく
今というとき
在るということについて
微弱な足がかりをつかむ
観念的空間配列の中は
物質らしきもので充ちていて
僕の肉体も間違いなく
そこに位置を占めているようなのだ
そして僕の肉体は
額や首すじや背中のあたりから
水に油が浮かぶように
ぷかりぷかりと
空間の中へ溶け出し始めるのだ