宿
森の猫

ライブの帰り
新宿のバーに立ち寄った
あたしは

そこでもビールを2杯を
グイと飲み
いいぐあいに 酔っていた

もう 終電には間に合わない

あたしは 迷わずにその人の後に
ついて行った

”おやすみなさい”と
見送るマスター

一夜の宿
ネットカフェより 眠れる

私鉄沿線の高級住宅街
ふらふらと夢見ごごちで歩く

真っ白な門扉 その人の家に着く

”お茶でも飲もうか”
ふたりで 持ってきた
ペットボトルのお茶を飲む

その人は
パソコンに向かい
仕事を始め

あたしは 体育座り
酔った勢いで べらべらとしゃべる

”暗いなーー”
”思い込み 激しいよ”

時折 鋭い突っ込み

でも ストレートな言葉には
ぜんぜん嫌味がなく 気にならない

まだ 数回しか会ってないのに
この ここちよさはなんだろう・・・

あたしは
タップリと汗をかき
しめったTシャツを

”これあげる”と 出された
ブルーのピチピチのTシャツに
着替えた

   午前2時30分

モデルハウスのような
清潔なリビングのソファーで
眠りについた

一夜の宿


自由詩 宿 Copyright 森の猫 2010-08-23 02:56:05
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