【連詩】 プラットホーム
古月
電車をおりると
白線をはみ出した蟻たちの
行列、空をわすれた足どり、で
わたしたちは歩いてゆく上へ
憑かれたように(上へ、
空のない方の上へ、)そして、
さようならと手を振ります、(耐える指
ないことは空虚でしょうかよろこびでしょうか
足音は結ばれ ほどかれて
白い楽曲を奏でるためだけに(置かれる、指
つなげて。ループを、残りに雲に
つきさせて―――蜂鳥の身投げする私の右手
包まり、口を汚れた大蟻喰の感受性を
手処るようにして、と思っていた。
電車の窓をみえるように。
/ 剥がす
壁一面に敷きつめた五線譜の裏側
潰しては塗りつける蟻たちの
樹形図、
未分化のわたしたちが生まれ出る
、、、蟻塚
に手向ける
/押し花/の (置かれる、指
切り口の
血栓がひらく (耐える指
音階、の密度 (振動、
塗りつけては踊る
(憑かれたように、上へ/ 剥がす、上へ
、/ 剥がす、(重力、
逃れられないものに、
螺旋のように剥がされていく
地上の生物から
いちまい、またいちまい
「飛ぶ、」「舞い上がる、」
/手向けたものが
/空に放たれた うたが
/未明の朝に 降りていく
/勾配に沿って
耐える指の、きりきりと
蒸発する
音圧の
響く黎明の第一声
塩基配列譜に似た
ダイアグラムをめくる
6本指の駅員
いましばし お待ちなさい
始・発せる列車!