鈍い感覚器
kauzak

言葉に鋭敏になろうとする僕は
言葉から復讐される

言葉で顕わになどできやしないと
世界は刻一刻と産まれ続けるだけだと

跨線橋の階段を登って行く
夕焼けは淡く世界を染めている

この瞬間もかつて存在した夕景と
同じ風景ではない

同じだと感じるのは
狂わぬための感覚器の鈍さ

言葉に鋭敏になろうとする僕は
それだけで狂おうとしているに違いない


自由詩 鈍い感覚器 Copyright kauzak 2010-08-21 20:18:03
notebook Home 戻る