部屋
テシノ

物語読むように過去の歌を思い出しながら
その時聞いた足音が蘇るだけであなたはもう待てないと言う
だったらきちんとしぬといえばいいでしょう
私はクローゼットの中で昔の言葉を組み合わせ
いくつもの直線にしてあっちとこっちに突き刺している
ものが多すぎて足の踏み場がないと泣くけれど
散らかした私を責める前に何か踏み潰してみせてくれないか
あの本棚にたどり着きたいんでしょう
あなたの十代が整然と並ぶあの本棚に

布団をめくれば骨がある
これはあなたの二十代の時の骨
あなたはいつもきちんとしねないんだね
見上げるしゃれこうべが流す涙のカルシウムチックコメディ
乳白色の優しさにハッピーエンドの希求を感じ
肋骨一本折ってあなたの小鳥の餌とする

嘆きの風で涙が輝くあなたの勘違いが世界を美しくしても
私は焼肉のにおいで空を飛べるようになったから
どんなにあなたが脅してもこの部屋は片付かない
あなたの三十代の肉が私の胃袋で消化されていく今こそ
はっきりしなよ
きちんとしぬって
一緒に食べたりしてないでさ


自由詩 部屋 Copyright テシノ 2010-08-18 18:55:09
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