めぐり えがく
木立 悟






尖った耳の荒地から
顧みられぬ広場まで
青と灰と青と灰
敷きつめられては動いている


手から手へ
骨から骨へ
やわらかく淡い月齢をひらき
ふたたびみたび閉じてゆくとき


息の無い森へ降る光
指差すものの肩を流れ
径を消す径
鈴おおう鈴に降りつもる


宙の一垂
飛沫の銀河
色は仮名の相
いくつもの指をすり抜けて


硝子の底の底の空が
あまりに水に映えすぎて
誰も呑まなくなってしまった
ひとり青でいる 青でいる



空が剥がれ また貼りなおす
水の重さに 指が痛む
夜はまちがいのように晴れてゆく
青の絵の具を 知らない日のこと



小さな暗雲が
中庭の隅に横顔を向け
描かれゆく一枚の絵を
見つめている


たくさんの手も 指も要らない
風の尾が言う
子らの声を
左目だけで抱き寄せながら























自由詩 めぐり えがく Copyright 木立 悟 2010-08-18 09:09:46
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