踏み出す
石川和広
周りでみてるなんて残酷だけど
男が泣いてるんだベンチで
紺のスーツを着た
なぞ
日を浴びて
うららかな公園で
ずっとずっと
僕はためらいがちに
声をかけようと
するが
森の木木がなぎたおされていくとてつもない轟音はもうかなしみをすぎている
だれか
僕は彼の泣き声の、伐採の、避ける音がけして泣くことすらない僕の過去を揺らすのを感じて
僕は通行人
僕は彼の生を彼からは僕の生がすれちがうその時。放たれた微かな燐光。何もできないこと足掛かりに
激しい音の木の中に踏み入る
未詩・独白
踏み出す
Copyright
石川和広
2004-10-16 14:05:46