君は日常に潜んでいる
真島正人

君は複数存在し
それゆえに
ちらちらと
人は見かける
それはつまり
人にとって
日常性の隙間に
はめ込まれた君を
認識できているという
ことだ







花弁!
そして

定めを
知らぬ牡牛

種子に
混じる鉄

慈しみ
深き
路地の
風圧

暗くなる……



サイダー
瓶に
かげりが
写っている

映写機は
ここになく
遠い
時代から

光を
ここまで
送るだけでいい
技術などではなく

技術など
消えうせろ
内的心情と
発露で

こんなにも
鮮明に
投射できる
こんなにも

遠いところ
から
風のように
吹き

「透明」

中にもぐりこむ
幽霊よ

季節感に
似合う服に
いますぐ
着替えなさい



鈍い
濁る
色合い
色彩

長い
深い
穿たれる
采配

濁る
ふさぐ
皮がはがれる
皮が修復される

立ち止まり
また
仰ぎ見て
空中に怯える

落ちて来る
落ちてこない
降ってくる
降ってこない

形態は
変化し
空白をこのむので
しばし

あいだを空け
再び
同じ恐怖を
人の心に植えつける

モルトを飲む
ギターを弾く
アイロンをかける
川を見に行く

川辺に立ち
口笛を吹くと
霧が晴れる
おんぼろ船が見える



座礁はしないだろう
陸にも上がらないだろう
飴玉をしゃぶるだろう
コンクリートに

雨は打ちつけるだろう

書き足りないそのすべてに
君は潜んでいる

様々な形態の
だが
決まった色の服を着て

君は見ているだろう
憂いと
抑圧の

入り乱れ

複雑に

無表情な
顔で。



自由詩 君は日常に潜んでいる Copyright 真島正人 2010-08-17 02:10:02
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