ブリ大根
たもつ

 
 
大根の上に
小さな虹がかかっている
きみは虹を切らないように
器用な手つきで
大根を切っていく

飛行機がいつもより
低く飛んでいる音が
屋根の上にある空から
聞こえてくる
帰りたい、と
きみはつぶやく

幸せも不幸せも
ごちゃごちゃのごった煮になって
そして変質し続ける
そんなものに翻弄されて
毎日がある

本当は虹なんて最初から無かった
ただぼくらは
虹が見たいだけだった
今日の夕食はブリ大根である
 
 


自由詩 ブリ大根 Copyright たもつ 2010-08-16 22:01:16
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