雪の日
Oz

その日の小学校は
雪に埋もれて真っ白になっていた
音はシンと響き
鶏や
兎は息を潜め
体を丸めていた

その日は丁度夏休みで
皆学校にはいなかった
用務員の叔父さんぐらいは
来ていたかもしれない
ただそれらしい姿は見当たらなかった

とてもシンとしていた
音は鈍く響き
僕らのたてる音でさえ
どこか遠くの
僕たちの知らない世界から
やって来る音のようだった

裏の畑には
枠があるせいか
柔らかい雪が
こんもりと積もっていた
僕らは
それめがけて
走り
飛び込んだ
大の字型に
体を写しては
鼻が雪で強ばりながらも
大笑いした

学校にはもちろん
至る所に鍵が掛かっていて
中には入れない
窓越しに下駄箱や
教室を覗きこむと
何かが現れそうな気がした
きっと中は
暖かいのだろう
いや、
ストーブはついていないよ
きっと寒いよ

「今日は異常気象なんだってさ。
不思議なくらいの異常気象なんだって。
きっと何かが起こるんだよ。
いや、もう起こっているのかも。」

空の鉢植えに蝋燭を立てて
火を付けた
淡い色合いが
白銀の世界に広がった
花火を取り出して
火をつける
サーッと
火花が飛び
雪に消えていく
雪は溶ける

アハハハハ
キャハハハハ
フフフッ
ヘヘッ

その世界には僕らだけがいた
僕らは
僕らなりの世界を生きていた
手を取り合い
寄り添って
まだ見ぬ何かに
挑み続けていた

花火が無くなると
急に
体が冷えた
ウチが恋しくなり
家に帰ることにした


自由詩 雪の日 Copyright Oz 2010-08-16 17:35:42
notebook Home 戻る