夏休みの思い出
吉岡ペペロ
新学期一日目にさっそく実力テストとかいうのがあった
夏休みも終わりかけのころともだちからいっしょに勉強しないかと誘われた
そいつの家は古びてはいたけれどお金持ちの匂いがぷんぷんとしていた
床下からへんな音がずっと聞こえていた
気のせいのふりをしようとしていたのは何故だったのだろう
でも結局ともだちにそれを尋ねた
妹や、した座敷牢になっとんねん、
ああ、とんでもないとこに来てしまった、と思った
もう勉強になんか身がはいらなくなった
窓あけよか、と言って立ち上がって窓をあけた
そとの音や気配とつながったほうが気がまぎれるように思えたからだ
そとはもう暗い青で地平がすこし白んでいた
おい、紫いろのひとのかたちしたのが飛んでるで、
ふつうに発見したことをともだちに告げた
ともだちが横に立ってきて
あれな、オレのおばあちゃんやねん、そう言った
したからはがりがりと変な音が聞こえている
紫いろのおばあちゃんが家のまわりを飛ぶのをしばらくふたりで見つめていた