過疎集落
朧月

川から流れてくるものは
木の葉や木々の破片たち
うずまいて うずまいて
深い緑に飲まれます

清らかな水に寡黙な石たちは
もうずっとそこで眠るのでした

おじいさん おばあさん
おかあさん おとうさん
あれあれだあれもいないよう
また眠らねばならないようだ

山は深呼吸の果てに
生み続ける水を
幹からは絶えず空気吐き出され
大気は潤う

私の髪が濡れる
ふいに降りかかる雨に
幾度の昔からのまちにはもう
明かりさえ少ない

街灯の灯は薄くなって
だれかの息遣いもしない
足音遠く響く中想う
失くしたくないという気持ち



自由詩 過疎集落 Copyright 朧月 2010-08-14 23:01:54
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