みかん
たもつ
誰が決めたのかわからないけれど
いつの間にか
どこまでも一列に並べられた
みかんの上を歩くことになっている
一歩踏み出してみる
みかんは潰れ
小さな悲鳴が聞こえる
なるべく潰さないように
大股で歩いてみるけれど
やはり踏んだみかんは潰れ
その度に悲鳴があがる
夕暮れとなり
自分の影が前方に長く伸びる
振り返ると
潰れたみかんの周りに
助かったみかんが集まって
ひそひそとした言葉で
お葬式のようなことをしている
このままどこまで行くのか
わからないというのに
夕日だけは
はっきりと見える