これ以上小さくなれないから
鵜飼千代子

サイズを合わせろと木端にダメだしされて
身体中の関節を外してコンパクトに納めたけれど
これ以上小さくなれないんだよ
もうそれじゃ
何がしたいんだかわからなくなっちゃうんだよ 

掴むものには
タイミングや巡り合わせというものがあって
その時であれば飛躍に繋がっても
時期を外せば別のものの組み合わせで
生きて行けたりもするから
能力のある者は、差し出すのも委ねるのも
とてもスマートで巧みな気がする

なんだか権利のない者がどこからかやってきて
「もっと小さく!」
「もっと小さく!」
「管理出来るように、もっと小さく!」
と姦しいけれど

これ以上小さくなれないから
ごめんなさいを言って、
ゆっくりとねじ曲がった身体を伸ばしてみた

 バキ  バキ
  バキ   バキ

関節がはまっていくよ

「あー、窮屈だった。」

ラジオ体操第一をやりたい気分だ



自由詩 これ以上小さくなれないから Copyright 鵜飼千代子 2010-08-12 06:36:56
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