あずけてしまえれば
瀬崎 虎彦

息吹を置き去りにして君は
素直になった
砂を走った
八月は並行して走る
水打ち際で風に舞った

戸惑いは前触れもなしに
鮮やかなモノローグを割いて
今ここに君といることを
あまりにも自然にしてしまうから

きらいだ

その手に触れる
なめらかさを
心もとなさを
確実な言葉にそっと
移し変えて
ガラスのように
カラスのように

流星にあずけてしまえれば
こんな悲しい気持ちにはきっと
ならずにすんだのに
過ぎた過ちに泣いても手遅れだ
理性に閉じ込められたら
君に目を奪われずにすんだ

君はずるい


自由詩 あずけてしまえれば Copyright 瀬崎 虎彦 2010-08-11 23:31:32
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