あずけてしまえれば
瀬崎 虎彦
息吹を置き去りにして君は
素直になった
砂を走った
八月は並行して走る
水打ち際で風に舞った
戸惑いは前触れもなしに
鮮やかなモノローグを割いて
今ここに君といることを
あまりにも自然にしてしまうから
きらいだ
その手に触れる
なめらかさを
心もとなさを
確実な言葉にそっと
移し変えて
ガラスのように
カラスのように
流星にあずけてしまえれば
こんな悲しい気持ちにはきっと
ならずにすんだのに
過ぎた過ちに泣いても手遅れだ
理性に閉じ込められたら
君に目を奪われずにすんだ
君はずるい