海へ行こうと思うとき
ベンジャミン

波打ち際で
寄せ返す白線を
追いかけたり逃げたり

入るつもりもなかったのに
いつの間にか裸足になって冷たくて
まくったズボンが不意の波にずぶ濡れて
そういう夏を何度も繰り返していた

あの頃には戻れない自分を
それでも海に連れてきた
波打ち際を遠目に
白線を引いて

越えられないのは歳月のせいじゃない
砂に足をとられてうまく歩けないのも
ただ眺めるためだけに来たんじゃない
無邪気になれない自分を遠く感じても

海を見れば空を見る
空を見てまた海を見る

大きなものをただ大きいと感じる
そんな自然なこころの動きを
ただ自然に感じたいと

涙と似た味がする海
遥か生まれた場所の海
そんなことも忘れてしまうくらい

ただ眩しい光の反射と
潮の匂いに包まれながら

そんな自分を
ただ素直に受け入れたくて


自由詩 海へ行こうと思うとき Copyright ベンジャミン 2010-08-11 23:19:13
notebook Home 戻る