何十億かいめのスペクタクル
吉岡ペペロ
戦略を持たない国だと自嘲するのはやめろ
出張の空は群青いろになっていった
リスクのとれない国だと軽くみるのはやめろ
どぶねずみ色の雲や空が群青になっていった
グローバル化という名の競争にさらされていた
いちばんぼしをガキみたいに探していた
俺たちは既存のビジネスにパラサイトしてけっこう熱心にやってるんだ
にばんぼしを見つけていた
競争がモチベーションを高めることはなかった
電車が残酷な音をたてて海のうえを走っていた
競争の行き着く先は利益ゼロに違いなかった
空の雲のないとこがブルーに白んでいた
俺たちはろくな強みも持たないで暗中模索、徒手空拳よろしくまだ見ぬ強みを磨いていた
夜の鉄路はおまえ何色しているんだ
すべては競争を回避するために
三歩すすんで二歩さがって地道に一歩ずつすすんでんだから
そんな一気に出来っかよ
蛍光灯が俺たちの立ち位置を告発していた
夕方がもう何十億かいめのスペクタクルを終わらせようとしていた