ティシュー
アマメ庵
彼の部屋にあるティシューは やわらかい
アレルギー性鼻炎
花粉症
年中 くしゅん くしゅんしては
豪快に鼻を噛む 彼
大王製紙エリエールのローションティシュー
他の類似商品では駄目だ
ミントが薫るタイプなら 尚良しとのこと
いつか彼が 熱を出した夜中
近所のローソンには無くって
遠くのドンキホーテまで買いに行った
彼と別れることになって
わたしは 泣いた
「ほらっ」
ぶっきら棒にティシューを差し出す彼
涙を拭(ぬぐ)うと 柔らかくて
彼の 優しさに触れた気がして
拭っても 拭っても 次から次から涙が出て
もう 別れる筈だったのに
泊まった
彼の右手と わたしの左手
しっかりと繋いで 一緒に眠った
朝
別れた
彼と別れて3ヶ月
頑張らなきゃいけないとき
怒られたとき
今も ローションティシューを探してしまう
優しさに 触れることができるから