『明日へ』
なごまる


『明日へ』


ポケットの中にひとつだけ残った

飴玉のような恋心

空っぽの心にアルコールを入れて

ただひとり月灯りの街を行く

失ったもの

まだ持ってるもの

橋の上から投げ捨てたタバコは

渦にのまれて消えちまった

心のなかに飴玉がひとつ

あの人が幸せならそれでいい

そう思えるほど大人ではないけれど

今はただ

悔しさも切なさも

鍵をかけて心の奥に沈めるんだ

誰からも愛されずに

ヒビわれた心だけ持って

明日へ

心のなかに飴玉はひとつ

ただ前を向いて行こう

月が冷たく笑っても

たとえ夜が明けても

ポケットに隠した飴玉のような想い

それだけあれば

ただ一人の明日へも

顔を上げて行ける






自由詩 『明日へ』 Copyright なごまる 2010-08-08 10:38:25
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