金曜日は糸巻きもせず
TAT
ロシアの古い民謡に
生きる事の本質を問い
私は屑だ
紛う事無き屑だ
私は勤勉でも無いし
私は野放図でも無い
私は偉業を成し遂げないし
私は市井の一魂のように忠実でも無い
私は愚かだし
私は強かだ
私は私に想いを寄せる彼の少女の
顔の造作或いは胸の膨らみの大小を値踏みするし
私は時として私の全てを一握りのプラスチック硬貨に替え
赤に張る
それは本当に愚かな事だし
それは実に忌むべき悪鬼の所業だ
と思う
けれども明日も太陽が昇り
私はリスタート出来る安寧の寝床に悠々と惰眠を貪り
そうして省みる事をせず
悔しがる事も無く
稲妻が真正面から私を裁けば良いと思う
神は私を第一に断罪すべきだと思う
私は私で
私は私を愛しているし
私は私の臓腑を八つ裂いて
飢えた犬に投げたい
泥水と共に
ガツガツ喰らい
犬は
やがて病気で死ぬが死ぬ前に糞を垂れる
醜悪な変色した
ひどい臭いのする
劣悪な糞を垂れる
その主成分でしかない
グッチとプラダとヒステリックグラマーの靴を日替わりで履き
今日もスマートにアルバイトの女学生諸君に爽やかな
秀逸なジョークを投げる某君たる私の魂の
剥き出しの値段は
所詮はその程度でしか無い
これは自明な
真実だ
紛う事無き
裸の真実だ
公僕の腰のニューナンブと
たった一発で良いから弾丸が欲しい
暑い夏の夜にパーンと景気の良い音が
乾いた音がした所で
それは多分爆竹か何か
遠い対岸の無関係な一度限りの
音でしか無いだろうから