人魚の涙
緋月 衣瑠香
ぽ、と、り、ぽ、こ、り、と、あ、わ、に、な、る、
もう忘れていいのです
苦しまなくていいのです
もう昔のことなのですから
これからはほかの誰かのためにないてください
わたしにはもう涙はいりません
こんなおもい、で、は、いら(れ)ないのです
もう楽になっていいのです
ふり返らないでいいのです
もうあの時のわたしではないのです
あなたもきっと変わってしまったのでしょう
わたしをどうか忘れてください
あのきおく、わたし、は、(し)ない
消えればいいのは、ね
そう、それは、ね
ね
もうあたらしい恋をしていいのです
どうかだれかを愛してあげてください
わたしへの想いはもうじゅうぶんです
わたしはあなたが好きだった
あなたはわたしが好きだった
それだけでわたしは幸せだった
だから
もうだれも苦しまなくていいのです
わたしがあのきもちと思いでをもっていきます
海のそこへと
わたしの心といっしょにもっていきます
今度こそ
ほんとうにだれかを心のそこから
ちゃんと好きになるために
ちゃんと好きだというために
ぽ、と、り、ぽ、こ、り、と、あ、わ、に、な、る、