『せんぷうき』
座一




ちっとも 眠れやしない熱帯夜
あいつは クーラーのきいた部屋で
今ごろ ぐうすか 寝てるのかしら
ダイコンみたいにぶっとい神経だから
あいつなりの 生き方をしてるのだろう

だけど 一歩 遅れて
去来する草原のざわめき
もうそろそろ キリをつけなきゃ

おやすみなさいと風が言う
涙も かわかしてくれる
おやすみなさいと風が言う
優しく 寝かしつけてくれる


真夏生まれの恋は
時に 情熱的に燃えさかるけど
思いが冷めてしまえば 
お互いの体温さえも 暑苦しいいきぐるしい

気付いてたんでしょ
だから勝手にするんでしょ
もうそろそろ さよならしなきゃ

元気だしてって風が吹く
くびふり動かしながら
元気だしてって風が吹く
恋愛熱中症のわたしに


がまんの限界 この暑さ
せんぷうき 強にして あーーって震えるあきらめの
ため息交じりの この声までも 吹き飛ばして
せんぷうき 秋になったら
大丈夫 一人でのりこえるから


待機電力を消費する
こんな気持ちなんか・・・
あいつなんか いらないわ






自由詩 『せんぷうき』 Copyright 座一 2010-08-07 20:23:02
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