暗い森
ベンジャミン

昨日よりもまた
いっそう暗い森の中にひとり
わたしの孤独がそうさせるので
見えない人にむかってはなしかける
どうせ見えないのだからと
目を閉じたまま
思いつくままの言葉を語る
いつからかそうやって話すときでも
返事のひびきで会話になることを
感じることができるようになった
暗い森の中にぼんやりと
人のかたちをした姿が浮かんで
わたしの孤独はよりいっそう暗いところへ
まるで吸い込まれるようにいなくなる
さようなら、わたしの孤独
いつでもまたわたしをむかえにきなさい
そのたびに語ろう
語るべき言葉と語りあう人がいるかぎり
暗い森は消えることなく現れても
わたしを消すことはできない
あらがうことの虚しさも
押さえ込む涙ものみこんで
もう一度目をあけたとき
そこに景色があることを
もう疑ったりはしないから
暗い森の中
迷ってしまうことが当たり前だと
思い込んでいた頃のわたしではない
むしろいっそう暗いほど
再び見える景色の
あの眩しさを
わたしは待ちわびてもいるのです



自由詩 暗い森 Copyright ベンジャミン 2010-08-07 01:28:17
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