森の猫

先週 街に出たときは
気づかなかったのに

きょう 梅雨が明けてから
初めて 蝉の声を認識した

こんな東京のはずれ
畑はいっぱいあり

ちょっと南には
都内で最大位の公園もある

あたりまえの風情なのに

なにか なにか
うれしかった

子供時代の夏は
蝉の声と
夕立と
家で作る いちごシロップの
かき氷

宿題のワークブックをマメにやり
窓を開け放して
蚊取り線香の匂い・・・

庭に紛れ込んだ
トカゲのしっぽを
無残に切る

ねずみに食べられてしまった
昆虫採集の箱

季節感が鈍くなってしまったのかな
世紀がかわって

あの時代の原風景が
なつかしい

できれば
できれば

少しずつ もどって欲しい自然

そんなことを想った
蝉の声


今年も熱帯夜が続く


自由詩Copyright 森の猫 2010-08-06 10:45:08
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