夏は終わる
たもつ

 
 
軟骨で出来たビルに
バッタが遊びに来ます
電信柱の破片が砕けて
少量の砂になります
 
 
+
 
 
過って網戸に
大きな穴をあけてしまう
その大きな穴から
たくさんの海が入ってきます
 
 
+
 
 
夏の形が終わります
一筋の汗とともに
クラゲに刺されないように
人は一生を過ごします
 
 
+
 
 
アスファルトが溶けて
人に変わります
そして草むらの奥へと進みます
自分の名前を探しに
 
 
+
 
 
雲を両腕に抱えたまま
少年はどこまでも走ります
小さなポケットから
時間がこぼれ落ちています
 
 


自由詩 夏は終わる Copyright たもつ 2010-08-05 22:09:31
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