胡瓜夫人
花形新次

昼、部屋を掃除しているときに見つけた 夫の隠し財産エロDVD(熟女もの)を 「まったく、あの男は性懲りもなく・・・。」と腹を立てつつ ちょっとだけ、ちょっとだけだからと言いながら 結局最後まで見てしまった夫人 真夏の暑さは夜になってもおさまることなく 身体の火照りもそのままに あいにく夫は泊まりがけの出張と 不運は重なるもので 昂った気持はもはやどうすることも出来ず 急いで冷蔵庫に向かって走ると ちょうどいい大きさと硬さとイボイボの胡瓜一本を取り出して 「ああ、久しぶりね」と頬ずりしながら 寝室へと消えていく 明日の夜、出張帰りの夫を待つ食卓には 胡瓜の浅漬けがのぼっていること間違いない


自由詩 胡瓜夫人 Copyright 花形新次 2010-08-05 12:05:47
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