めぐり ふたつ
木立 悟
ゆうるりとただゆうるりとそそがれる刃から青とどろく夕べ
五の橋も四の橋もまた傾きぬ異なる生の軋みあう街
壁ひとつ扉のひとつも越えられぬこの目この耳この手と身体
音は前いつも光の前に出て冬を冬へ冬へ導く
壁まよい壁めぐりゆくふたつの手欠けた星を見る白い虹を見る
花の道ふと振り向けば足音は水たまりを出で水たまりに入る
ひまわりを探しつづける手のひらに鈴ちりばめし冠の降る
さまよう手いつかいつの日かたどり着け此方が此方に在りつづく地へ
短歌
めぐり ふたつ
Copyright
木立 悟
2010-08-04 19:55:03
縦