テンガロン / あ
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心配性で変に格好つけなわたしにとってこの作品にでてくる「俺」
というのは、もうほとんどあこがれである。わたしはこれでもけっこ
うイケてるナイスガイのはずなのだけど、人を惹きつけるのはだいた
いこういうやつだ。みっともない姿をさらすくせにそれが自然体で、
向こう見ずなのに、でもときどき影がある。そういう男にあこがれち
ゃうのはなんでなのだろう。
この作品でも、黒髪の美人の家にあがりこみ、タロイモごちそうに
なったあげく「テンガロンはしばらくここで暮らすよ」というずうず
うしさを発揮している。このためらいのなさ。わたしだったら、そこ
で「迷惑ではありませんか」と期待してるくせに格好つけてしまう。
そしてだいたい下心を見ぬかれるのだ。くやしい。
詩全体として、決して技巧的ではないですが、巧拙をこえた情熱が
たしかに刻印されているし、なにより「俺」こと「テンガロン」が絵
になる男として魅力的に生き生きと描かれているところがよかった。
むしろこういう男を描くには、これぐらい荒削りで勢いのある表現の
ほうがいいのかもしれない。要所要所で、ひじょうに詩情あふれるキ
ラーフレーズがあって、ぐっときました。最高!