夏空
nonya




買ったばかりの缶コーヒーを
首筋に押し当てながら
見上げる空

千切れた記憶の尻尾が
光りまみれになって
流れていく

街路樹から降り注ぐ蝉の声が
身体をすり抜けようとするから
何処かが痛い

流れた汗と恥で出来ている
影を踏みしめながら
歩き出す

東京にまた
夏がやって来た

似合わないのに
ちっとも似合わないのに

暑さにヤラれたコンクリート達は
それでも物凄い形相で
あけっぴろげな青に向かって
笑顔を照り返そうとする





携帯写真+詩 夏空 Copyright nonya 2010-08-03 19:29:02
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